建艦日報

艦船模型ブログのはずが徐々に方向性が不明なことに・・・、 混沌なるカオスへようこそ。

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瑞鶴 最終時の迷彩について(5) 商船偽装説

公平を期するために、こちらも「~説」としましたが、個人的には「対空迷彩の目的は商船偽装のため」と考えてほぼ間違いないと思っています。
なぜかと言いますと、この件に関しては米海軍の調査資料にしっかりと書かれているからです。

件の調査資料は、学研「空母大鳳・信濃」P143「日本空母の迷彩」に、簡単に要約されて掲載されていますが、結論から先に対空迷彩に関する部分を抜粋します。

●長方形の飛行甲板は通常船型に似せて塗装、船橋と煙突を描き、エレベーターはカーゴアーム付き貨物ハッチに見えるよう塗装。
…とあり、個々の艦と時期により若干の違いはあるものの、横須賀海軍工廠の技術部門で基本的な塗装図が作成されたようです。

資料には雲龍迷彩図が付属され、配色も「ブラック」「ダーク・ブラキッシュ・グリーン」「グリーニッシュ・ブラウン」の三色が指定されていますが、どんな色なのかは名前から想像するしかなさそうです。
zuikaku225.jpg


この説のしっかりした根拠は、「主に空母を他の船舶に間違えさせる」という目的で、数隻の空母を実際に塗装して実験を行ったという記録が残されていることです。

実験パターン1
雲鷹に施されたもので、直線と曲線の比較用
zuikaku226.jpg
実験パターン2
大鷹に施されたもので、爆撃の照準の中心を狂わす目的
zuikaku227.jpg
実験パターン3
千歳に施されたもので、商船に見せる目的
zuikaku228.jpg
実験パターン4
雲龍に施されたもので、商船に見せる目的
zuikaku229.jpg
実験パターン5
雲鷹に施されたもので、商船に見せる目的
zuikaku230.jpg

これらの実験の結果、効果不十分ながら行わないよりはマシと判断され、4と5のパターンが比較的良好という評価ですが、千歳型や瑞鳳にはパターン3が採用されているようです。
余談ですが、「軍艦の塗装」P87掲載の千代田迷彩図は、上記の実験パターン3がそのまま描かれていますので、参考にする場合は注意したほうが良いでしょう。
米海軍調査資料に付属している千歳迷彩計画図は、瑞鳳の上空写真に写っているパターンによく似ているので、実験パターン図を元に正式な塗装図が作られたものと思われます。

以上、対空迷彩に関して米海軍の調査資料を要約して紹介しました。
この資料は、学研「空母大鳳・信濃」「翔鶴型空母」の二冊に掲載されているものですが、微妙に内容が違っているので判断に困る部分もありました。なので、解釈にはなるべく妥当な選択をしたつもりではありますが、もしかしたら自分の解釈ミスがあるかもしれません。
できることなら要約ではなく、米海軍調査資料の全文をどこかで公開していただきたいと願うものであります。


商船偽装説に疑問が無いというわけではありません。
それはやはり水野氏も仰っていられるように、なぜこのような配色が決定したかということです。
商船に見せかけたいのであれば、やはり当時の船舶保護法に似せた色を使用するのが自然でしょう、これが陸地偽装説を完全には否定しきれない部分です。


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  1. 2009/05/31(日) 13:32:25|
  2. 瑞鶴 (最終時)
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瑞鶴 最終時の迷彩について(4) 陸地偽装説

空母の対空迷彩パターンは、果たして何を意図して塗られたものなのか?というのは誰しもが興味のあるところだと思います。
試しに瑞鶴の迷彩に言及しているサイトを求めてインターネットの海を漂ってみると、「商船偽装説」と「陸地偽装説」の二つがあり、私見ですが「陸地偽装説」を信じている人のほうが若干多いような印象を受けます。

※wikimediaから画像をいただき、できるだけ水野氏のイラストの色調に近づけてみました。
zuikaku224.jpg
前回でも書いたように陸地偽装説は、1997年に発売された学研「翔鶴型空母」で、水野行雄氏のイラストと共に発表された説ですが、どれほど信憑性があるのか検討するため、イラストに添付された水野氏の解説を原文のまま引用させていただきます。


(前略)
飛行甲板の迷彩パターン・色彩について、関係者の証言・文書等を探していたところ、「世界の艦船」1983年4月号の記事が重要なヒントを与えてくれた。ここに掲載したイラストの「瑞鶴」が従来の通説となっている色合いと違っているとすれば、以下のような理由である。
「世界の艦船」誌の記事には、甲板上の色として、黒・濃緑・緑・黒緑・茶緑が使われたとある。また、石橋孝夫氏が執筆原稿とともに添付された、米海軍の調査によると思われる「雲龍」の迷彩図のコピーを見せていただいたが、これによっても、甲板上には「軍艦色」(ねずみ色)が記されていない。これが、今回のイラストの大きなポイントだと思う。
作者個人の推察に過ぎないが、行動中の偽装以上に甲板上のカムフラージュは、碇泊中にこそ重きをおいたのではないか?舷側の商船に似せた迷彩は、対潜水艦としてのものであることは十分理解できる。しかし、行動中はウェーキ(航跡)によって容易に航空機から海上において発見できたと思う(船の進路をくらますため甲板上に船の形を中心からずらせたシルエットとして塗装をしてあるが……)。
上記の資料で甲板上に軍艦色を使用しなかった理由はおのずと明らかになったと思う。瀬戸内海の島々の色(松林、草地、水田等々)に溶け込ませるのが本来の目的ではなかったか。
以上は、あくまでも、イラスト製作者としての推論の域を出ていない。しかし、1944年当時、本土にあった大型艦に対する重油備蓄量を考えれば、行動中よりも碇泊中の時間が長かったことは、あながち否定できないことだったのではないか。
(後略)


商船偽装説に異を唱える理由として、上記の解説文から読み取れることは
●迷彩色に軍艦色が使われておらず、人工物よりも自然物を思わせること。
●船体形を斜めに描いて艦の進路を欺瞞させようとしても、航跡でバレてしまうので爆撃対策としては弱い。
●航海しているよりも碇泊している時間のほうが長い。
以上の理由から商船偽装説に疑問を抱いた水野氏は、空母葛城が接岸した島の一部に見えるよう偽装(仮設の小屋を建てたり道路を作る等)をして空襲を免れたという逸話と関連付けて、この結論に至ったのかもしれません。

意外にも陸地偽装説の根拠はこれだけです。少なくとも解説文を読む限り、対空迷彩に関して目撃者の証言があったようには思えないことから、実艦の写真や「雷撃隊出動」の映像から読み取った情報以外は水野氏の想像であることが伺えます。
確かに目の字パターンは水田や畑を模したように見え、見た目の説得力はあるのですが、商船偽装説を否定するには、私個人としては少々根拠が弱いのではないかと思います。
資料不足で断言はできないのですが、船舶保護法に従った商船甲板の塗装指示が軍艦色だったとは限らないですし、碇泊中の期間が長かったとしても、空母を商船に偽装できる可能性があるのなら、偵察機対策の上でも特に損は無いのではないでしょうか。
水野氏自身も「推論の域を出ていない」と書かれていますので、どちらの説を信じるにしても冷静な判断が必要なのではないかと思います。

次回は「商船偽装説」について解説します。


  1. 2009/05/22(金) 23:20:59|
  2. 瑞鶴 (最終時)
  3. | トラックバック:0
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瑞鶴 最終時の迷彩について(3)対空迷彩諸説

対空迷彩に関しては今までに何種類かの解釈がされてきました。
これから改めて考察する上で、代表的なものを振り返ってみようと思います。

① タミヤ1/700キットの説明書
zuikaku220.jpg
キットが発売された1993年当時のスタンダードな解釈で、この頃はまだ甲板上に目の字パターンが無いと思われていたようです。
配色も濃淡グレイの組み合わせや木甲板塗り残しの指定があったりと、現在の通説からは外れた内容となっています。
塗り分けの基本形状は、それなりに上空からの写真に似せてあるので、濃淡グリーンや茶色の組み合わせに変更すれば、とりあえず簡単に塗れて雰囲気だけ味わえれば充分という人向けに良いのではないでしょうか。

② 衣島尚一氏の作図によるもので、「日本海軍艦艇図面集3」や「軍艦の塗装」に掲載。
zuikaku221.jpg
作図されたのは掲載誌発売年よりもだいぶ前だと思います。
上記のキット説明書に少々変更を加えたような内容という印象で、配色に関しては各自判断となっていますが、部分的に軍艦色が使われていると解釈されているあたりに、情報の古さを感じずにはいられません。


瑞鶴の対空迷彩にグレイが使われていなかったという説が広く知られるようになったのは、1997年に発売された学研「翔鶴型空母」に掲載された水野行雄氏のイラストと解説がきっかけだったと思います。その解説にて「対空迷彩=陸地偽装説」が提唱され、迷彩考証のターニングポイントになったのではないでしょうか、これ以後の迷彩図には目の字パターン有りというのが標準になります。


③ モデルアート2008年7月号に掲載された図
wikimediaにほとんど同じ迷彩図があったので画像をいただきました。元図
zuikaku222.jpg
前述した水野行雄氏のイラストを元にパターンを描いたようですが、配色は件のイラストよりも明るめになっています。
理由はよくわからないのですが、2000年代に入ってから、このように外舷2号系列で配色するというのが通説になっているようです。
日本の航空母艦パーフェクトガイドにも、色調は違いますが、これと似たパターンの迷彩図が掲載されています。


④ ネイビーヤード誌Vol.10(レイテ沖海戦part2)に掲載された図
Hayataka様の掲示板から画像をいただきました。
zuikaku223.jpg
現在最新の考証による迷彩図です。画像解析が駆使されたことにより、前半部の迷彩パターンに関しては高精度で解明されたと言えるでしょう。
配色に関しては外舷2号系列よりも暗めの色になっています。おそらく水野行雄氏のイラストに近づけたものか、あるいは米海軍調査資料の雲龍迷彩色に倣ったものと思われます。


以上、できるだけ発表された時系列順に並べてみました。
次回では対空迷彩の考証に一石を投じた「陸地偽装説」を再検証してみようと思います。





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  1. 2009/05/19(火) 18:50:36|
  2. 瑞鶴 (最終時)
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まとめ

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